研究概要 |
本年度は,振動により作業時の適切な腕の動作を教示する装置の改良,腕の動作を教示する機能の付いた溶接訓練用シミュレータの開発および訓練効果の検討を行った. 前年度に製作した振動による動作教示装置を,前腕部と上腕部の2か所に装着できるものに改良した.この際,モーションセンサ,ゴニオメータと表面筋電位計の電極の配置を再検討した.改良した装置が装着者に与える振動パターンに対して腕の動きと力を入れる部位が直感的に連想できるかを,被験者を使い調査した.その結果,高い割合で動きを連想させる振動パターンが発見できたが,力を入れる部位に関しては発見できなかった. 開発済みの被覆アーク溶接訓練用シミュレータを改造し,振動による動作教示装置を組み込んだ.訓練者が装着するモーションセンサとゴニオメータから得られた腕の動きの情報と,表面筋電位計から得られた筋活動の情報を,あらかじめ取得した技能者の情報を比較し,差の大きいものに対して修正を促す動きを振動による動作教示装置により与えるようにした.腕の動きに対する振動パターンは,前述の調査から高い割合で動きの連想できるものを割り当て,力を入れる部位に対する振動パターンは,高い割合で動きが連想できない振動パターンを割り当てることとした. 改造した溶接訓練用シミュレータの訓練効果の検討を行った.溶接経験の少ない被験者を2群に分け,一方は腕の動作を教示するシミュレータによって訓練するもの,もう一方は動作を教示しないシミュレータによるものとして,訓練を行わせた.訓練の前後には実際の溶接を行わせ,作業中の溶接棒の動き,溶接部のビード形状から技能向上を評価した結果,腕の動作を教示することが有効であることが確認できた.
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