研究概要 |
本研究では、創造性・イノベーションを促進するために、(A)前提条件・レディネスの策定、(B)イノベーションの顕現機会の指標の開発、(C)異文化間(学習者間)でのコミュニケーションと協調支援方略の開発、(D)創造性・イノベーション顕現の仕組み全体の有効性の検証を目的とした。 最終年度となる23年度は、ISTEスタンダードで提示された学習者が必要なスキル(創造性・イノベーション)を養成することを支援するシステムの検証を行った。システムは、22年度の研究調査に基づき開発した「コミュニティの多様性を活用しイノベーションと創造性を支援するシステム(Cross-Breeding Diversity支援(CBDS)システム)」を改修し、システムの有効性を検証するための実証実験を行った。他者と自分の学習スキーマを掛け合わせた協調学習支援、および、顕現機会を増加させるためのコミュニケーション支援方法の開発を行った。コミュニケーション支援方法として、CBDSシステムと、創造性とイノベーションに影響すると考えられる変数(メディア、グループ編成、課題など)との関係に注目し学習者同士のインタラクションを分析した。データ収集にはISTEスタンダードの項目を基に開発された質問紙を使用した。創造性・イノベージョン顕現の仕組みとして、学習コミュニティの特徴を、Community of Inquiry (Garrison,2011)のフレームワークをベースに調査・分析した。 本研究によって、創造性を高めるためには、多様性を重視し活用できう学習コミュニティ形成が必要となるととが明らかになった。他者のスキーマを可視化するシステムは、コミュニティの多様性を活用するために役立つことが示唆された。これらの成果は、創造性・イノベーションを促進する学習コミュニティ形成研究において意義あるものと考えられる。
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