研究1では、現行のナビゲーションソフトのコンテンツおよび表現形式について調査し、その内容が幼児・児童にとって理解可能であるかを検討している。対象は、携帯電話大手3社ならびに、市販ゲーム機用ソフトウェア(SONY PlayStation Portable対応各社)、参考としてカーナビゲーシュンシステム(SONY社)てある。いずれも、平成20年度調査時よりもューザビリティの向上は確認でき、指示標識灯の表現の多様化が見られ、さらにノースアップ機能やヘッドアップ機能が標準的になっていることから、鳥瞰的理解が難しい幼児期~児童年初期でも理解可能性は広がったと見ることができる。しかし、コンテンツの精密化が認められ、本来大人の利用であれば望ましいことであると思われるが、幼児・児童の避難行動時におけるランドマーク特定等では、情報の特定が困難になる可能性も危惧される。そこで、AR(拡張現実)と抽象化されたCGによる理解差を実験的に確認するために、協力幼稚園に依頼して実験材料の作成に着手している(平成22年度研究3)。また、研究2として、行動指示標識の多様化が研究1で確認されたことをふまえ、色彩要因と形態要因のどちらに影響されやすいか確認するため、幼稚園児を対象とした調査用紙配布し、検討した。しかし、既知の標識からの類推が基本にあることから、内容に明確な差は認められなかった。そこで、研究4として、避難行動における即時判断を想定して、未知の標識に対する行動判断について検討するため、反応潜時(RT)を指標にする実験を計画している。これらをふまえ、ナビゲーションソフト開発に資する情報表現形式について検討をすすめる。
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