研究概要 |
平成21年度は,児童対象メロディ付き物語創作支援システムを実際の小学校で活用できるように運用面を中心に改良し,小学校3,4年生を対象に90分1回限りのイベント型の授業実践を行ってきた.平成22年度は,135分の授業を2回に分けて実施する継続型授業案を開発し,それをもとに3年生,4年生それぞれ2クラスずつに授業実践を行った.継続型授業案は平成21年度作成した継続型授業案をベースに,実践の対象となるクラスの担任教員にヒアリングを実施し,現職教員の観点や要望を取り入れ改良したものである. 授業実践終了後,イベント型授業と継続型授業の間に学習者が感じる授業満足度に差異があるか学習者アンケートを用いて量的分析した.その結果,学習者に課した学習活動の制限に対し,学習活動の抽象度と学習者の授業満足度に相関があることを示唆するデータが得られた. さらに,平成21年度の実践に代表されるゲストティーチャーによるイベント型授業とその取り組みを,実践した教員のインタビューデータをもとにして質的分析手法の一つである修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによりモデル化し,授業に関するメリット,問題点とその改善策を提示した.また,本実践を教科教育の観点からも分析し,音楽教育での利用可能性が高く,国語教育での利用も機能を追加することにより可能性が高くなることがわかった.システムや授業実践に対する高い評価が得られたものの,実際に小学校にシステムを導入するには多くの問題があることが明らかになり,システム導入に関する研究の緊急性と重要性を指摘することができた. 現在,本課題の成果の学外発信と教員同士が情報交換可能になる場の提供を目指し,ウェブサイトを構築し,コンテンツが配置されている状況である.
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