平成23年度は、前年度の調査結果を踏まえ、(1)「米国における研究者倫理の生成過程に関する研究」に引き続き重点的に取り組むとともに、(2)「研究者倫理に関する諸外国の取り組み」についても昨年度に引き続き調査を実施することをとおして、米国における研究者倫理の生成過程の特徴について、同国および国際的な科学技術政策の展開のなかに明確に位置づけることを目指して研究を実施した。 (1)「米国における研究者倫理の生成過程に関する研究」については、前年度に引き続き、米国研究公正局や米国科学アカデミー等関係機関の報告書や発行文書、関連資料の系統的な調査・分析や、研究公正性に関する国際会議など関連する会議の参加・関係者からの情報収集、科学技術政策関係者や科学技術政策研究者・科学技術社会論研究者等との意見交換等を通して、研究倫理研究者倫理をとりまく米国の科学技術政策の変化・動向に関する調査を実施した。また、メディアにおける代表的な研究不正問題の扱いについても、資料調査を実施した。(2)「研究者倫理に関する諸外国の取り組み」については、文献調査や関係者の聞き取りを引き続き行い、諸外国や国際機関、学術誌等における研究倫理への取り組みのモデルの精緻化をはかった。 以上の調査を通して、研究者倫理の生成過程を解明し、1970年代以降の米国を中心とした諸国における研究活動と社会との関係の変容の一端を解明した。その成果については、現在、学会誌への投稿のためとりまとめを行っている。
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