研究課題
主な成果は下記のとおりである。1.骨髄骨を指標としたガチョウの同定:これまでに調査してきた14遺跡・計195点のガン族の骨における骨髄骨の観察記録を再評価してまとめた。ガン族は日本で越冬し、繁殖はしない。従って出土した骨が繁殖期に死亡した個体に由来することが明らかになれば、その骨が飼育個体に由来することが推定できる。産卵前後の約1ヶ月間のみ雌鳥の髄腔に形成される二次的な交織骨である骨髄骨を指標として、日本の遺跡から出土したガン族の骨が家禽個体に由来するかどうかを検討した。この研究は発表した第11回国際考古動物学会(フランス・パリ)において、Poster prize for the quality of the research protocolsを受賞した。2.非計測形質に基づくキジ科長骨の同定基準の作成:セキショクヤケイを含む現生のキジ科骨標本計160点を検討した。その結果、足根中足骨、烏口骨、上腕骨、脛足根骨でキジ・ヤマドリとセキショクヤケイ・ニワトリの識別に役立つ形質が、大腿骨でキジとヤマドリ・セキショクヤケイ・ニワトリの識別に役立つ形質が認められた。これらの形質に基づいて弥生時代のニワトリの骨を再評価した結果、ほとんどの骨でこれまでの同定所見が支持された。3.遺跡から出土した鳥類遺体の調査:伊礼原遺跡(沖縄県北谷町・縄文時代前期)、朝日遺跡(愛知県清須市など・弥生時代)、土井ヶ浜遺跡(山口県下関市・弥生時代~古墳時代)、カモイベツ遺跡(北海道斜里町・続縄文時代~オホーツク文化期)、利尻富士役場遺跡(北海道利尻富士町・オホーツク文化期)、雑司が谷遺跡(東京都豊島区・江戸時代)、日本橋馬喰町遺跡(東京都中央区・江戸時代)、松山城跡(愛媛県松山市・江戸時代)、松江城跡(島根県松江市・江戸時代)の各遺跡から出土した鳥類遺体を分析し、ニワトリとガチョウの骨の検出に努めた。
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東温史談
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青谷上寺地遺跡出土品調査研究報告
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Birds in Archaeology, Proceedings of the 6th Meeting of the ICAZ Bird Working Group in Groningen (23.8-27.8.2008)
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