本研究により、日本・中国産の漆である『Rhus vernicifluum』に関しては、通常の熱分解-ガスクロマトグラフィー/質量分析法(PyGC/MS)と比較して約10倍の感度を獲得することに成功した。加えて、この値はもともと検出されなかった場合を考慮していない値であり、実際の感度としては10 倍以上の感度になっていることは明白であった。一方、日本・中国以外で採取されている漆の場合には高感度化を行わない条件であっても、劣化によってその産地が特定できないほどにはなかなか劣化が進行しないことも明らかとなった。しかしながら、実際の試料の分析例(結果よりタイ産と判明)においては高感度化の効果は確認された。
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