初年度となる平成21年度は、デジタルカメラや、近紫外~可視~近赤外にいたる様々な波長の単色光源、またバンドパスフィルターなどからなる撮影システムを試作した。また、これを使ってモデル試料や浮世絵などの実資料を対象に、単色光撮影を実施、紙や顔料、染料といった文化財材料とカビなどを含めた汚れの画像の違いを検討した。その結果、ハロゲン灯など白色光源とバンドパスフィルターを組み合わせよりも、単色光源の方が、物質による差異を際立たせて捉えうること、また、異なる色材や汚れ、紙のシワなどの映りは波長ごとに大きく異なり、その差を画像解析によって数値的に処理することが、表面物質を特定する方法となりうることを見出しつつある。これらの成果については、学会や専門誌で発表した。次年度もさらに研究を重ね、特に生物由来の汚れの特異的な検出について検討する予定である
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