研究概要 |
平成21年度の研究実績は以下の通りである. 1.衛星写真による地形判読:本年度はインド・アルチャーナルプラデシュ州,ブータン南部,ネパール南部の範囲を対象として,CORONA偵察衛星写真を購入し,地形判読が可能なように,フォトショップ上で幾何補正を行った.幾何補正したファイルについて印刷を行い,地形判読を実施した.判読によって抽出された断層変位地形をマッピングした.また,すでに所有しているインド・パンジャーブ州周辺の衛星写真を用いて地形判読を同様に行った.その結果,ヒマラヤ前縁に明瞭な断層変位地形が連続していること,幾何学的なパターンがあることを明らかにした. 2.予察的な現地調査として,ネパール国カトマンズ市へ出張し,トリブパン大学地質学教室B.N.Upreti教授と現地調査の打ち合わせを行い,調査に必要な空中写真,地形図の手配をおこなった.また,ネパール活断層図の出版について打ち合わせをおこなった.ネパール政府測量局にて,空中写真による地形判読を行い,ヒマラヤ前縁帯逆断層の背後に長さ50kmにわたる右横ずれ断層を発見した.この断層は,すでに知られている二つの断層帯の空白域に発達している.この断層の発見によりプレート同士が斜め沈み込みが生じている地域において,地表付近の変形もプレート運動に対応していることが確かめられた. 来年度からは,ヒマラヤ山麓内に横ずれ断層が発達する地域において逆断層の変位がどのように変化しているのかについて,より具体的な野外調査を通じて今後検討を行う必要がある.
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