平成23年度においては、開発しているGISに国土地理院の電子国土背景画像を表示する機能を実装した。国土地理院は、背景画像として電子国土基本図に加え、東日本大震災津波被災地の空中写真も提供している。これによって、津波浸水範囲のベクトルデータを作成したほか、町・大字別死亡者分布図の作成等を行い、GISによる災害時における地図作成の有効性を示すことができた。 過去の地形図から行政界・海岸線、湖岸線、鉄道を抽出し、ベクターデータに変換して時間情報を付与する作業に関しては、関東地方の明治後期~大正期の1/5万地形図から上記項目を抽出し、結合してベクターデータとして作成することができた。今後は時間情報を付与して戦後までの行政界を表示できるようにしたい。 次に、開発しているGISの英語化に関しては、ユーザーインターフェイスに関しては80%程度、実行中に表示されるメッセージについては50%程度まで英語化が進んでいる。ドキュメントについては未着手であるが、まずはソフト本体について英語化を行っていく予定である。 最後に、近年HTMLの新しい規格であるHTML5が多くのインターネットブラウザで実装されるようになった。このHTML5を用いると、グラフィックの描画がブラウザ上でも可能である。そこで本年度ではHTML5を使ってブラウザ上で白地図を表示させるWebサイトの試作版を作成した。その結果、従来のWeb期にとは異なり、プログラム・データともブラウザ上に配置されていることから、ソフトをインストールすることなく、高速な地図表示が可能である。今後はこのHTML5を用いたブラウザ上で動作するGISについても検討していく。
|