研究概要 |
本研究の目的は、積雪量の減少による植生変化の実態を明らかにすることである。そのために、積雪量の変化に敏感な湿原を対象として植生変化を検出した。 その結果、調査をおこなった黒部川源流部の山地上部、とくに頂上部や尾根部の湿原では面積に縮小が認められ、その原因が積雪量の減少に伴うハイマツの増加によるものであることが明らかとなった。 今年度は中部地方・山陰地方を中心に調査を行った。具体的には次の4点を検討した。 1.山地湿原の面積変化→中部地方を代表する山地湿原である黒部川源流部、および山陰地方を代表する山地湿原である氷ノ山古生沼のそれぞれについて、空中写真の解析によって経年的に追跡し、湿原の縮小を確認した。 2.山地湿原の植生構成種の変化→黒部川源流部および黒部川中流部の現地調査をおこなって、湿原の植生変化はハイマツの侵入によるものである事があきらかにした。 3.積雪量の変動と植生変化との比較検討→1,2で得られた植生変化と積雪量変動の対応を気象観測資料から検討するために、黒部川流域の各関係機関に要請して積雪量観測記録を入手し、積雪量変動を追跡し、データ整理を行った。 4.気候の変動と植物の生育状況の関係性→湿原に進入するハイマツの成長量と気象条件の変動を比較して、それらの関係性を明らかにした。
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