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2010 年度 実績報告書

埋蔵文化財情報を利用した高精度の地形発達史研究

研究課題

研究課題/領域番号 21700856
研究機関新潟大学

研究代表者

小野 映介  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90432228)

キーワード自然地理学 / 考古学 / 遺跡 / 地形発達 / 埋蔵文化財
研究概要

埋蔵文化財情報を利用した高精度の地形発達史の構築を目指し,津軽平野中部と鳥取平野北西部の湖山池周辺において重点的な調査を実施した.
津軽平野中部においては,浅瀬石川扇状地に立地する前川遺跡(田舎舘村),岩木川の氾濫原に立地する稲村遺跡(五所川原市)の調査区において浅層堆積物を調査するとともに,遺跡周辺で地質ボーリング調査を実施した.その結果,同平野では10世紀前半に顕著な地形変化(完新世段丘面における蛇行帯の発達,デルタにおける河成堆積物の急激な垂直累重)が生じたことが分かった.蛇行帯を構成する堆積物からは多量のパミスが検出されたことから,著しい地形変化の要因として十和田平安噴火(915A.D.)にともなうラハール堆積物の流入が考えられる.こうした100年オーダーの地形変化が捉えられたことにより,沖積低地の地形発達が漸移的に進行したのではなく,時折発生するドラスティックな変化が地形形成に大きく影響することが明らかになった.
一方,鳥取平野北西部では,湖山池周辺に発達した開析谷群に立地する複数の遺跡(鳥取県埋蔵文化財センターが調査中)を対象として浅層堆積物の観察や珪藻分析を行った.その結果から,縄文海進最高頂期以降の海面変動と溺れ谷タイプの沖積低地の地形発達,湖山池の成立過程を考察した.縄文海進時には開析谷群は沈水し,溺れ谷が形成されるとともに,周辺には海水の影響の強い内湾が広がった.その後,溺れ谷は河成堆積物によって埋積されるが,その際,小規模な海進や海退が生じた。こうした現象は,当地域の相対的海面変動や湖山池の成立を反映したものと推定され,今後のさらなる検討を要する.溺れ谷は,約4,000年前までに河成堆積物によって完全に埋積され,湿地や森林が拡大するとともに人々の流入が始まった.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 1498年明応地震による遠州灘沿岸浜名川流域の地形と集落への影響2010

    • 著者名/発表者名
      藤原治, 小野映介, 矢田俊文, 海津正倫, 佐藤善輝, Vanessa Heyvaert
    • 雑誌名

      歴史地震

      巻: 25 ページ: 29-38

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 学会展望 歴史地理 先史・古代2010

    • 著者名/発表者名
      小野映介
    • 雑誌名

      人文地理

      巻: 62 ページ: 80-82

  • [学会発表] 鳥取県湖山池沿岸の沖積低地における縄文海進高頂期以降の環境変遷2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤善輝・小野映介
    • 学会等名
      日本地理学会春季大会
    • 発表場所
      明治大学
    • 年月日
      2011-03-29
  • [学会発表] 浜名湖南東岸の六間川低地における完新世後期の堆積環境変化2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤善輝・藤原治・小野映介・海津正倫
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2010年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      2010-05-26
  • [学会発表] 浜名湖南東部岸の六間川低地で見られる約3400年前の津波堆積物2010

    • 著者名/発表者名
      藤原治・佐藤善輝・小野映介・海津正倫
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2010年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場
    • 年月日
      2010-05-24

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公開日: 2012-07-19  

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