研究概要 |
過去数万年~数十万年における横ずれ断層の構造発達過程を解明するために,断層帯を構成する断層の詳細マッピング,地形・地質踏査,測量調査を実施した.またトレンチ掘削調査のための用地選定にも着手した. 21年度は岐阜県東部に分布する阿寺断層帯中部~中北部において,構成する断層の詳細マッピング,幾何形状の把握を行った.空中写真判読による断層線の認定,地形面分類図の作成,踏査による断層の確認や一部地質図の作成も実施した.特に踏査による成果が大きく,写真判読ではわかりにくい小規模な変動地形,地形面の残存状態が悪い段丘堆積層や,地形面を残さない未固結堆積物と断層との関係から,第四紀中~後期における断層の活動性の有無を確認した.下呂市御厩野周辺と,中津川市加子母北東部において,複数並走する断層と,段丘面や未固結堆積物との変位関係を確認することができた.これらは第四紀中後期においてはいずれの断層も活動が見られるが,低位の段丘面には変位を及ぼさないものがあるなど,活動性ないしは活動時期には違いがあることが明らかとし,これらを分類した.またより小規模な変動地形と極浅部地下構造を把握するために実施すべくトレンチ調査の候補位置について,数箇所の地点を選定した.22年度は,21年度に確認した段丘堆積物の形成年代を確認するために,指標テフラの捜索と判定,サンプリングと年代測定を実施する.またトレンチ調査や小規模変動地形の確認のため,引き続き現地調査を実施し,地権者との調整の上,トレンチ掘削調査の実施を試みる予定である.
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