研究概要 |
本研究の目的は,個々の活断層ごとに活動履歴(地震時変位量や活動間隔等)を詳しく解明し,それらを総合的に把握して,広域スケールでみて活断層どうしにどのような相互作用が認められるかを定量的に検討することである.平成21年度は,東北信地域の活断層帯における最近3回程度の活動を対象として,航空写真判読と現地踏査,航空写真測量等の変動地形学的調査を実施した.長野盆地西縁断層帯の,変位量10m程度以下の断層変位地形を対象として,1940年代米軍撮影航空写真を用いた写真測量により44本の地形断面を作成した.すでに現地測量で作成されていた地形断面41本とあわせ,18地区に区分して航空写真を判読しつつ変位量を検討したところ,15地区において最近数回(2~4回)の地震時変位量が地区ごとにみてかなり安定している可能性が示された.他の3地区についてはデータ不足により検討できなかった.また,すでに精読を終えていた武者史料に加え,新収史料を精読し,1847年善光寺地震の地変(位置がおおよそ特定され,かつ活断層線の近くであり,出現形態等からみて地表地震断層の可能性のあるもの)に関する記述を抽出した。活動時期に関しては,最近4回の活動時期等に関する論文をまとめたほか,1回前の活動の時期をさらに詳しく解明すべく,現地にて断層変位地形や周辺の地質状況の観察を行い,地層掘削調査実施法を検討した.糸魚川-静岡構造線断層帯北部も含め,地震時変位量や活動間隔等に関する予察的な検討を実施した.
|