1847年善光寺地震を引き起こしたことで知られる長野盆地西縁断層帯では、最近4回の活動時期が推定されており、平均的な活動間隔は800~1000年程度とされている(Sugito et al.、2010など)。しかし、1847年に先立つ地震のうち、2回前の活動は2000~2150 cal BPに限定されているものの、1回前の活動時期には約500年の推定年代幅がある。地震時変位量の繰り返し方や活動間隔の再現性を厳密に検討するためには、この推定年代幅をより狭くする必要がある。 そこで、本断層帯中部の長野県中野市草間において、平成16年度の群列ボーリング調査結果(杉戸・岡田、2006)を踏まえ、ハンディジオスライサーとパーカッション式コアサンプラーを用いた群列ボーリング調査を実施した。その結果、ジオスライサーのコアにおいて、1回前の活動に対応する可能性が高い傾斜不整合を観察することができた。傾斜不整合の下位は腐植質砂礫混じりシルト層であり、これを覆って腐植質シルト層・泥炭層が堆積している。これらの地層から植物片を洗い出し、放射性炭素年代測定を実施した。その結果、この傾斜不整合が5世紀前後(暫定値)に形成された可能性が示された。地層の上下関係と年代値を吟味することで、1回前の活動時期の推定年代幅をより狭く拘束することができそうである。 今後、昨年度の成果とあわせ、最近3回程度の活動について、地震時変位量と活動間隔を詳しく議論できる可能性がある。
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