研究概要 |
1) 19世紀の気象観測記録の追跡調査 英国気象庁・オランダ気象研究所・フランス気象局・スペインエブロ測候所において,19世紀の東・東南アジア地域の気象観測記録の追跡調査を行った.その結果,フィリピン・インドネシア・旧仏領インドシナにおける観測記録の所在を確認した.フィリピン・インドネシアについては,記録のコピーを入手した.仏領インドシナの記録は,複写・持ち出しが禁じられており,今後交渉が必要となる. 2) 19世紀気象観測記録のデジタル化 すでに入手済みであった19世紀の函館・新潟・上海における気象観測記録の日気温・降水量・気圧・湿度データのデジタル化を完了した.今後は,入力データの品質管理が必要である. 3) 19世紀の気候変動に関する解析 19世紀の気象観測記録および古日記天候記録データ,英字新聞の気象情報をもとに,1860~80年代に日本に接近・上陸した台風の復元を行った.その結果,現代と比較して妥当な事例数の台風が復元可能であることを実証したほか,1880年代末期に台風頻度が減少していることが明らかとなった.今後復元期間を19世紀前半に延ばし,また20世紀の台風頻度と比較することによって,長期変動傾向を考察していく必要がある.
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