研究概要 |
本研究は,B級活断層(平均変位速度0.1-1.0mm/yr)を対象として活断層が引き起こす巨大地震の時間・空間の変遷を検証し,その上で活断層の平均変位速度ならびに地震1回当たりの変位量の算出を行い,これらと巨大地震の再来間隔ならびに活断層の活動区分などとの関係について考察することを目的としている.本申請研究は,平均変位速度が時代と共に変遷してきていると考えられる事例の活断層(小平尾断層,森本-富樫断層,魚津断層,山形盆地西縁断層)を対象としている.平成21年度は予定を一部変更して対象の4断層全てにおいて調査を行ったほか,比較対象(時代と共に地震の再来周期が変化していない断層)として石動山断層ならびに深谷断層においても現地調査を実施した.これらの断層帯のうち,小平尾断層は断層地形の分布形態や段丘面の形成年代から,時代とともに平均変位速度が減少してきていることが示唆することができた.続いて,由形盆地西縁断層における地震の再来間隔は7000年~13000年と幅が広いものの,100000年前と比較すると再来間隔がやや短くなっていることを明らかにした。一方で,比較対照断層における成果としては、深谷断層では主断層,副次断層,第二副次断層における地震の再来間隔がそれぞれ,5,000年,10,000年,20,000年であることを明らかにし,主断層が一定の周期で地震を繰り返し引き起こしていることを明らかにした.他の断層に関しても現在調査データの解析中であり、来年度の最終成果報告において詳細を報告する予定である.
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