平成22年度は、まず前年度に調査した2009年2月20日の熊谷付近における冬の昇温事例について、領域気象モデルWRFを用いた再現計算の再計算などを行い、南からの暖気移流が昇温に影響していたことを再確認した上で、投稿論文にまとめた。これについては、現在印刷中である。また、荒川堤外地と隣接する熊谷市街地にかけて南北約1.4kmの測線での詳細な気温分布を調べるために気象観測を実施した。トラブルがあり観測期間が2010年9月~10月となったが、真夏日となった晴天日(2010年9月21日)日中には市街地がおよそ2~3℃高温であり、ヒートアイランドの存在が示唆された。また、荒川堤外地から熊谷市街地に向けて風が吹き込むと、市街地の気温が1~2℃程度低下する様子が捉えられた。この観測結果は、熊谷市街地の日中の高温要因の一つとして都市のヒートアイランドが寄与していることを示唆するものであり、本研究課題である夏季高温時の高温要因の切り分けにも重要な結果と思われる。この詳細な気温データが得られた日のWRF+SUMMモデルによるシミュレーションを実施することは今後の課題で残された。 一方、前年度から継続している領域気象モデルWRFと都市エネルギーバランスモデルSUMMとの結合モデルの構築作業は、平成22年度末時点で完成までには至らなかった。9月21目の観測データなど、結合モデルによるシミュレーション結果の検証データは揃ってきているので、平成23年度は結合モデルの完成と高温事例のシミュレーションを行っていきたい。
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