本研究は、衛星センサASTERの熱赤外画像データを使用して、日本の全国に点在する小水域の表層水温の時系列データセットを整備し、公開することを目標としている。研究年数は4年であり、2年目の平成22年度は、21年度に開発したASTER水温推定ソフトウェアならびにデータ配布用Web GISサーバの改良を進めると共に、推定水温の検証用として21年度より実施している水戸市千波湖における水温常時観測を継続的に実施した。また、全国の約900か所の小水域について、前述のソフトウェアを使用して2000~2010年における表層水温を推定し、開発中のWeb GISサーバに登録した。同サーバは、地図を介して小水域を選択することで、その水域の水温データをグラフ表示したり、ダウンロードできる仕組みとなっており、平成23年度前半には公開する予定となっている。一方、千波湖における水温常時観測については、水温ロガーを定期的に取り換えることでデータを収集しているが、遠隔から水温をモニタリングできるようにするため、携帯電話を使用した水温遠隔収集システムの開発も進めている。また、空間分解能が低い衛星センサMODISの熱赤外画像から小水域の水温を推定するためのサブピクセル代表水温推定法の開発を行い、千波湖の水温データ等を使用してその有効性の検証を行った。MODISは毎日観測を行っているため、本手法をMODISデータに適用することにより、水温データの時間分解能を大幅に向上させることが期待される。今後は、Web GISサーバの公開、対象水域の追加、千波湖における水温常時観測の継続と水温遠隔収集システムの運用化、MODIS画像を利用した水温推定の実施、水温トレンドの比較に基づく小水域分類法の開発、等を進める予定である。
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