本年度は、キャビティリングダウン(CRDS)法を用いたエアロゾル消散係数の湿度依存性計測装置を開発した。検出用の光源には、YAGレーザーの第二高調波(532nm)を用い、ビームスプリッターを用いて2つの分割したレーザービームをそれぞれ、高反射率ミラーで構成した光学キャビティ(測定セル)に導入した。消散係数の計測には、エアロゾル無しでのバックグラウンド測定が必要であるため、ある一定時間毎に、サンプルガスを粒子除去フィルタに通し、エアロゾルを取り除いて計測する。その後2つの流路に分け、片方を加湿システム、もう一方を拡散ドライヤに通過させることにより、加湿もしくは乾燥させ、消散係数の湿度依存性を計測できるようにした。加湿はチューブ外部に湿度をコントロールしたガスを流したパーミエーションチューブを用いて行い、湿度センサと連動して、加湿ガスの湿度をコントロールし、エアロゾルを含む外気の相対湿度を一定に保つシステムを構築した。 また、製作した装置の性能評価を行うために、その吸湿成長因子(湿度による粒径変化)や屈折率が既知の硫酸アンモニウムをアトマイザを用いてエアロゾル化し、その消散係数の湿度依存性を測定したところ、得られた消散係数の湿度依存性は、文献値から見積もった結果と5%以内でよく一致した。今後、開発した装置を用いて、実大気観測や室内実験を行い、様々な大気エアロゾルの光学特性の湿度依存について、調べる予定である。
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