研究概要 |
タグ・トレーサー手法(Sudo et al., 2007)を拡張し、エアロゾル成分に対する各汚染領域からの起源推定計算を可能にした。化学気候モデルCHASER (Sudo et al., 2002)の基本コンポーネントはオゾンやCO、NOxなどの気体成分中心であるが、研究代表者らのこれまでの研究により、エアロゾル気候モデルSPRINTARS (Takemura et al., 2006)と結合し、エアロゾル計算も同時に行なうことができる。本年度は、この枠組みを応用し、黒色炭素(BC)、硫酸塩の各エアロゾルを対象に、各汚染域からの輸送・沈着過程などをタグ・トレーサーにより個別に計算し、それぞれの領域からの輸送過程を評価可能にした。さらに、以上のようにエアロゾルまで拡張されたタグ・トレーサー手法を用いて、最近(2000年以降)を対象にした評価実験を実施した。ここでは、特に、中国域から太平洋上への輸送、南極大陸への輸送、および火山性硫酸塩エアロゾルのUT/LS領域での輸送に着目した実験を行い、それぞれについて、観測データを交えた詳細な評価を行い妥当性の検討を行った。
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