まずはじめに、Integrated cavity output spectroscopy (ICOS)法のメインとなる光学キャビティーの設計と組み立てを行った。また、大気試料の流量制御装置や、高速データ処理のためのデータ取り込みシステムを開発した。まず、非常に高い反射率(99.99%以上)の一組のミラーを、約0.3m程度離して設置し光学キャビティーを構成した。ミラーの曲率は1m、直径は2インチである。セルの筒の材質はステンレスとした。CH_4の吸収の共鳴波長付近の半導体レーザー光(1650.8nm)を導入した。レーザー出力はシングルモードファイバを通じて吸収セルの直前でコリメータから射出される。ファンクションジェネレータを使用して、半導体レーザーの電源出力をのこぎり波形型とし、レーザー波長を一定速度で変調させた。エンドミラーからの漏れ出し光をInGaAsフォトダイオードへ光学レンズを用いて集光している。光学キャビティーにはキャパシタンスマノメータとサーモカップルを取り付けて、圧力と温度を精密に計測している。スペクトル線の線幅の圧力広がりを抑制するためには、セル内の全圧をなるべく低くした方が有利である。しかし、セル内の全圧を低くしすぎると、セル内に導入するCH_4の数密度も下げてしまう。そこで、130 Torrとした。ガスの導入は質量流量制御器を用いて行っている。ガス排気は、オイルフリーのダイヤフラムポンプを使用し、光学キャビティーの汚染が生じないようにした。工業的に生産されている標準ガスシリンダーを用いて、検出感度の評価実験を実施した。
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