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2011 年度 実績報告書

天然有機物の腐植化過程における生化学的普遍性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21710014
研究機関酪農学園大学

研究代表者

保原 達  酪農学園大学, 環境システム学部, 准教授 (70391159)

キーワード腐植化 / アミノ酸 / アミノ糖 / 微生物影響 / 分解の普遍性
研究概要

本研究では、陸上土壌、海洋、生物体内の腐植化過程において普遍的にみられる天然有機物の生化学的特性を解明することを主目的とした。そこで、異なる生態系において、天然リターのリターバック分解実験を行い、異なる環壌中で腐植化過程においてどのような生化学的普遍性が見られるかを、加水分解性アミノ酸及びアミノ糖収量などを比較することで調べた。また、長期的な普遍性を明らかにするため、クロノシークエンスに沿った火山灰サンプルを採取・比較し、これを短期的な変化であるリターバック実験の結果と整合させ、議論した。その結果、陸域と水域で行ったリターバック実験のサンプルは、どちらにおいても、リター中の加水分解性アミノ酸の単位炭素あたりの収量、ならびに加水分解性アミノ等の単位炭素あたりの収量が、分解段階が進むと共に増加する傾向が顕著に見られた。また、グルコサミン(GlcN)とガラクトサミン(GalN)の比であるGlcN/GalNが、分解とともに減少し、概ね4-15ほどであった比が、1~2に落ち着く傾向が見られた。こうした分解における生化学的変化は、植物体由来の物質が、微生物体由来の物質に変化していることを示唆していた。また、こうしたことが異なる環境下で同じように起きていたことは、天然有機物の腐植化過程において、普遍的に微生物影響が生化学的特性の変化に寄与していることを示唆している。また、クロノシークエンスに沿った変化としては、アミノ酸・アミノ糖の収量は時間軸に沿って増加する傾向は見られなかった。一方で、GlcN/GalNは、古い有機物ほど低い傾向を示し、短期間での有機物分解と同様の結果となった。このことは、数万年レベルの長期間でも微生物影響が継続していることを示すと共に、GlcN/GalNが減少するという普遍的な生化学的変化が腐植化やdiagenesisの過程でみられるものであることを示していた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 牛の消化過程における食物中アミノ酸組成の変化2011

    • 著者名/発表者名
      白鳥聖也、保原達、泉賢一
    • 雑誌名

      酪農学園大学紀要

      巻: 36巻 ページ: 53-58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Selective lignin decomposition and nitrogen mineralization in forest litter colonized by Clitocybe sp2011

    • 著者名/発表者名
      Osono, T., Hobara, S., Hishinuma, T., Azuma, J.I.
    • 雑誌名

      European Journal of Soil Biology

      巻: 47 ページ: 114-121

    • 査読あり
  • [学会発表] Microbial contributions to C and N dynamics in decaying litter elucidated by amino acid and amino sugar analyses2011

    • 著者名/発表者名
      Hobara, S., Osono, T., Noro, K., Hirota, M, Benner, R.
    • 学会等名
      American Geophysical Union 2011 Fall meeting
    • 発表場所
      Moscone center, Sancran Cisco, USA
    • 年月日
      2011-12-06
  • [学会発表] 亜熱帯林の漂白落葉におけるアミノ酸及び無機態窒素動態2011

    • 著者名/発表者名
      保原達・野呂健太・大園享司
    • 学会等名
      日本生態学会第58回大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-03-10
  • [図書] 森林の物質循環を支える微生物(北海道の森林、北方森林学会編)2011

    • 著者名/発表者名
      保原達
    • 総ページ数
      319
    • 出版者
      北海道新聞社
  • [図書] Distribution of organic carbon accumulation in soil of tundra ecosystems, Alaska.(一酪農学徒として(中原准一教授退官記念論文集)酪農学園大学生命環境学科・エクステンションセンター編)2011

    • 著者名/発表者名
      Hobara, S., Kushida, K.
    • 総ページ数
      169
    • 出版者
      北海道リハビリー
  • [図書] Behavior of dissolved organic carbon in larch ecosystems (In Permafrost ecosystems, Eds.Osawa, A., et al., Ecological Studies 209)2011

    • 著者名/発表者名
      Prokushkin, A.S., Hobara, S., Prokushkin, S.G.
    • 総ページ数
      502
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2013-06-26  

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