研究課題
平成21年度はGRACE衛星重力データを用いた解析を中心に研究を進めた。まず、使用するGRACE衛星重力データの精度の確認、誤差特性、および復元可能な質量変動の空間スケールを確認するため、GRACEから最も顕著に観測可能なシグナルである陸水変動の年周変動成分に注目し、GRACEとは独立に求められたグローバルな水文モデルとの比較をおこなった。その結果、最も一般に使用されるガウシアンフィルタを使った質量変動復元では、GRACEのストライピング誤差が除去不完全となり、特に低緯度域で大きな誤差をもたらすことがわかったため、以降の研究ではストライピング除去用のフィルタを適用したデータを用いることにした。このデータセットから年周、半年周成分を除去し、質量変動の経年変化成分を得た。得られた経年変化成分のうち、固体地球の質量変動を取り除くため、スマトラ地震による固体地球質量再配分の影響の除去、および、高緯度域におけるポストグレーシャルリバウンドの除去を主にモデルを用いて行った。このうち、南極では、モデルの精度が不十分であるため、GRACEデータとICESat衛星高度計データとの組み合わせによる固体地球変動と氷床変動成分の分離をおこなった。こうして得られたグローバルな地球の水の質量変動トレンドのうち、他の気象、水文観測データが比較的容易に利用可能であるインドシナ半島の陸水変動をまずはテストケースとし、その変化の主要因が人為活動ではなく気象学的な要因であることを確かめた。
すべて 2009 その他
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Science of The Total Environment 407
ページ: 3173-3180
http://archives.chikyu.ac.jp/archives/AnnualReport/Viewer.do?prkbn=R&jekbn=J&id=223