研究概要 |
将来の気候変化に対する亜寒帯陸域生態系の応答が大気.陸域生態系間のエネルギー・物質循環に及ぼす影響を定量的に評価することを目的として、北方域と冷温帯域の境界に位置する北海道の森林でえられた野外観測データと開発された数値モデルから、同地域の植生動態、エネルギー・炭素循環に関する数値解析研究を行った。この研究の結果、数値モデルは、野外観測で得られた地表面でのエネルギー収支、生態系交換量(Net ecosystem exchange, NEE)の季節変化、年々変動の他、植物個体群のサイズ構造動態、林分バイオマスの変動を適切に再現することに成功した。また、大型台風の森林接近にともなう自然撹乱が森林の炭素吸収量に大きな影響を及ぼしたが、この撹乱後の森林回復に伴う炭素動態は窒素動態と密接に関連していることを指摘し,将来の気候変化に伴う自然撹乱が北方域森林生態系の炭素動態に及ぼす影響を予測する上では、炭素とともに窒素動態についても植物生理生態的観点から定量的に評価することの重要性を示唆した。
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