研究概要 |
今年度は,(1)国内1サイトにおけるモデル構築研究の論文化、(2)国内3サイトを利用した植生指標の季節変化の検証、(3)国内水稲マップの作成準備、(4)国内サイトにおける放射計測装置の設置と測定の開始,の4つの内容わ実施した.既に提出した研究計画に準じて研究を遂行できていると言える.(1)においては,協力サイトである茨城県つくば市真瀬の単作水田において新しい植生指標としてGR (greenery ratio:可視光波長帯における緑色の放射強度)を導入し,同サイトにおける水稲の生理特性を表す指標として有効であることを示し,構築したモデルによって,生育期全体でのモデル出力値が,観測値に対してGPP(純生態系交換量)は102%, RE(生態系呼吸量)は95%となり,高い精度での実測値を推定できることが示された.この結果では,NEEは109%と過大評価になった.また(2)においては,岡山市の単作田において同様にGRを植生指標としてモデル計算を行った場合,つくば市のように,推定結果が必ずしも一致しない結果が得られた.これは,GRが岡山市における水稲植生の季節変化を精度高く推定できていないことに起因することが分かった.岡山市の単作田の場合,従来一般的に用いられてきたNDVIのほうが,植生の生理パラメータの季節変化を精度高く推定できていることが示唆された.(4)においては、中国揚州市江都におけるフラックス測定サイトでの連続測定に本補助金経費で購入した赤外線地表面温度計を8月に設置し、測定を開始した。順次データが蓄積されている状況であり、次年度以降に行う、同地におけるモデル検証用のデータとして、利用することが可能となる。
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