研究課題
植物生態系への酸性降下物の総合的な負荷量を評価することを目的に、乾性・湿性・霧水沈着を含めた包括的な沈着過程と葉面水の蒸発に伴う濃縮等の物理化学過程をモデル化し、申請者がこれまで開発を進めてきた地表面モデルに導入し、植物への物質沈着量とともに樹冠内部の酸性降下物の濃度および沈着量の鉛直分布を評価可能な精緻な地表面モデルを開発する。昨年度は、オゾン、硫黄化合物(SO2)、室素化合物(NOx)およびアンモニア(NH3)等のガス状物質やエアロゾル・霧等の粒子状物質の植生への乾性沈着過程と葉面水の蒸発に伴う濃縮等の物理化学過程をモデル化し、地表面モデルに導入した。この地表面モデルを検証するために、欧米の植生地で測定されたガス状・粒子状物質の乾性沈着フラックス、兵庫県六甲山地のスギ林で観測された物質沈着量等のデータを収集し、これらの地域での地表面モデルの試験計算を実施した。その結果、開発した地表面モデル乾性沈着フラックスや霧水沈着に伴う森林への物質沈着量の観測データの時間変化を良好に再現することを確認した。本年度は、昨年度収集した欧米と国内の観測データを用いて、地表面モデルに導入した物理化学過程の検証を進め、酸性降下物の濃度および沈着量の森林内部での鉛直分布を評価できる地表面モデルを完成させる。また、本研究で開発したモデルを用いて得られた研究成果をまとめて、国内・国際学会や論文等で研究発表する。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
Agricultural and Forest Meteorology 150巻
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