研究概要 |
本研究の目的は,有用な植物資源の効果的な利用と保全に関する調査研究を通じて,生態系サービスのひとつである植物資源の価値を評価することである.平成22年度は有用植物データベースと土地利用・被覆データを用いた統合的な評価によって,非市場価値を含めたサービスの定量化について検討した.具体的な内容は以下のとおりである. 1.有用資源植物データベースの検証 平成21年度に作成した有用植物データベースについて,土地利用と関連して種の生育範囲などの検証を行い,生態系サービス評価に供するデータベースの構築を行った. 2.生態系サービス評価手法の検討 社会調査の結果から,(1)非市場価値および(2)生態系サービスを提供する生物多様性と関連する指標の開発が必要であることが示された.(1)に関しては再度,社会調査データを検証し,生態系サービスの市場価値と非市場価値の分類を行った.(2)に関しては土地利用・被覆分類による種多様性指標と生態系機能の関連および他の指標(バイオマス)との関係性について解析を行った. 3.成果の取りまとめ 1.において作成したデータベースを2.で検討した生態系サービス評価に取り入れる際の課題について整理した.特にステークホルダーからの具体的な情報を科学的評価に供する場合の課題点について整理し成果を取りまとめ,学会等で成果報告を行った.本研究の結果から統合評価に必要なデータベース作成の意義と新たな課題が明らかになった.
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