研究概要 |
本研究の目的は,様々な環境及び経済的被害を引き起こしている外来生物の効率的管理について理解を深めるため,動的・空間的な外来生物の拡散メカニズムに関する知見と最適管理モデルを統合し,最適管理の理論的分析及び,数値シミュレーションを行うことである.そして,最適管理空間配置の一般的な特徴を明らかにすることを目指す.本年度は,最適化モデルの枠組みで,空間パターンの評価を可能にするため,空間モデリングの基盤となる隣接構造を把握するGISマクロの開発を行った.さらに,導出された隣接構造のデータを森林管理空間配置の実際問題に応用し,その汎用性を確認した.(この結果は論文として統計数理58(1)にまとめた.)また,生物学・生態学の様々な知見を最適化モデルと統合するアプローチを実際の応用問題に適用することで,その統合プロセスのノウハウを蓄積し,課題を明らかにし(これは論文として環境情報科学論文集23にまとめた),外来種問題における統合モデリングの可能性を検討した.同時に,外来種の空間分散プロセスに関する文献を集め,関連分野の学会参加などを通して積極的に情報収集および意見交換を行った.特に,外来種であるCheat Grassについては,その発生が森林火災と非常に深く関わっており,その発生パターンは火災発生の空間パターンと相関があると言われている.本年度は,以前より進めてきた森林火災リスク軽減のための最適管理の経済分析を拡張したものを取りまとめた(Canadian Journal of Forest Research 40 (1)).具体的には様々な環境的変化,物理的および経済的状況化での火災拡散シミュレーションと最適管理空間パターンの分析結果の取りまとめである.この作業を通して,Cheat Grassについての拡散メカニズムについての理解を深めた.
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