本研究では、高齢化率の上昇が交通起因のCO2排出量へ如何なる影響を与えるのかそのメカニズムを定量的に把握し、今後の交通部門CO2排出削減政策へのインプリケーション、持続可能な社会実現に向けた政策へのインプリケーションを導き出すことを目的としている。 今年度は、昨年度の研究(高齢化率と交通部門一人当たりCO2排出量の関係に関する計量分析)成果をエネルギー関連の国際ジャーナルEnergy Policyに投稿を行った。分析結果の質を高めるために、新たな分析を行った。再度の分析の結果、CO2排出量と高齢化率は高齢化率約16%を頂点とする二次の関係にあることが判明した。その査読の結果、Vol.45への掲載が決定した。 第二に今年度は茅の恒等式の考えを利用した日本における乗用車のCO2排出に関する要因分析を実施した。この分析結果によっていかなる要因(燃料効率、一人当たり走行距離、一人当たり自動車保有台数)がCO2排出に影響を与えたのか把握をした。さらに、この分解した要因データと高齢化率、所得、燃料価格が関連をするのか実証分析を行った。実証分析の結果、自動車保有台数と高齢化率の間に二次の関係があることが判明した。転換水準の高齢化率は17%であった。自動車保有と高齢化、すなわち平均年齢との間に二次の関係があることは、自動車保有と年齢に関する国際的な調査結果と合致するものである。また、燃費と所得の間に二次の関係があることが判明した。分析で得た成果をまとめ、Stockholmで開催されたthe 34th IAEE International Conferenceにて発表した。
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