研究課題
本研究の目的は、染色体転座などの誤ったDNA二重鎖切断再結合部位においてATMが持続的に活性化していることを直接的かつ可視的に証明するというものであった。そのためには、ATM kinaseの基質であるヒストンH2AXのリン酸化をATM活性化の指標とし、このリン酸化H2AXのフォーカスをFISHプローブで染色した染色体上で検出する「Foci on FISH法」が不可欠であったが、平成21年度はこの技術の確立に成功した。最新のプロトコールは以下の通りである。細胞にガンマ線を照射後、分裂期を回収し、氷冷100%メタノールで30分固定。その後1xPBSで洗い、抗リン酸化H2AX抗体を1時間反応、1xPBSで2度洗浄後、ビオチン化2次抗体を1時間反応。1xPBSで2度洗浄後、ストレプトアビジン化ホースラディッシュペルオキシダーゼを1時間反応。1xPBSで2度洗浄後、ビオチンチラミドを10分反応。1xPBSで2度洗浄後、カルノー固定液(メタノール:酢酸=3:1)を30分処理し、定量のカルノー液で再懸濁し、スライドガラス上に滴下し、染色体を展開。1-3日乾燥後、スライドガラスの細胞上にFISHプローブをのせ、80℃,3分変性。その後37℃インキュベーター内で2-3時間ゲノムDNAとプローブをハイブリダイゼーション。70%ホルムアミド/1xSSCで2度洗浄後、ストレプトアビジン化AlexaFluorを1時間反応させ、ビオチンチラミドシグナルに変換したリン酸化H2AXシグナルを蛍光標識化。以上の手順により、染色体転座の融合部位上においてリン酸化H2AXフォーカスを検出することができた。フォーカス陽性の染色体転座の頻度は来年度詳細に解析を行う予定である。
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