【緒言】悪性腫瘍である神経膠芽腫は高い放射線抵抗性を示すため、放射線治療後の再発率が高いことが知られている。最近、神経膠芽腫の再発率が高いのは、がん幹細胞が存在するからであるという「がん幹細胞説」が唱えられるようになってきた。そこで、本研究では正常神経幹細胞を実験的にがん化させることを目的として、マウス神経幹細胞を含むニューロスフェア形成細胞を長期間培養し、不死化させることを試みた。 【【結果と考察】マウス胎児線維芽細胞を3日毎に継代した場合は、約13回分裂した後に増殖が停止し、老化マーカーである酸性β-ガラクトシダーゼの発現が見られた。一方、ニューロスフェア形成細胞を3日毎に継代した場合も徐々に増殖能力が低下し、17~30回(平均22.9回)分裂した後に増殖が停止した。また、マウス胎児線維芽細胞と同様に、増殖が停止した細胞では酸性β-ガラクトシダーゼの発現がみられた。これに対して、マウス胎児線維芽細胞を10日毎に継代した場合は、6継代を超えたあたりから長期に渡って高い増殖能力を保つようになった。また、ニューロスフェア形成細胞では、10日毎に継代した場合、8継代を超えたあたりから、一定以上の増殖率を保つようになった。
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