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2011 年度 実績報告書

有機物除去機能を有するイオン吸着体を利用した尿中放射性核種の迅速測定

研究課題

研究課題/領域番号 21710063
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

浅井 志保  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (10370339)

キーワードバイオアッセイ / 多孔性高分子 / グラフト重合 / キレート / イオン交換 / 質量分析
研究概要

原子力施設での事故が発生した場合、被ばく者に適切な措置を施すためには速やかに被ばく状況を把握する必要がある。特にαおよびβ核種の体内摂取による内部被ばく線量評価では、誰でもその場で簡単に採取できる「尿」を用いるのが有効である。しかしながら、尿試料の測定前処理は長時間を要するため作業工程の短縮が課題となっている。本研究では、透水性に優れたシート状多孔体の細孔表面に、放射線グラフト重合法によって2種類の官能基を導入し、イオンのサイズを識別する新規な吸着体の作製を試みた。まず、尿中の不要な有機分子を除去し、かつ無機イオンとして存在する放射性核種を捕捉するために、グラフト重合によって付与される高分子鎖の上層部に「有機分子をプロックする官能基(水酸基)」を、下層部に「無機イオンを捕捉する官能基(イミノニ酢酸基)」を導入した。グラフト高分子鎖中における官能基導入位置は、官能基の反応順序によってコントロールできる。得られた吸着体について有機分子のサイズ排除性能を評価するため、サイズの大きな分子の模擬物質としてアルブミンを用い、作製したシートに透過させたところ、アルブミンは吸着せずにニッケルイオン(ウラニルイオンの模擬)のみを吸着させることができた。水酸基を導入した高分子鎖上層部は、尿試料のpH領域において収縮構造を形成し、アルブミンが高分子鎖下層部に導入したイミノニ酢酸基まで到達するのをブロックするためである。したがって、本研究で作製した吸着体は、サイズの大きい有機分子は高分子鎖上層部で排除され、サイズの小さい無機イオンだけがイミノニ酢酸基に吸着できる特異な性能をもつことを実証できた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Removal of Cesium Using Cobalt-Ferrocyanide-Impregnated Polymer-Chain-Grafted Fibers2011

    • 著者名/発表者名
      石原量
    • 雑誌名

      Journal of Nuclear Science and Technology

      巻: 48 ページ: 1281-1284

    • DOI

      10.1080/18811248.2011.9711817

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dependence of Lanthanide-Ion Binding Performance on HDEHP Concentration in HDEHP Impregnation to Porous Sheet2011

    • 著者名/発表者名
      石原量
    • 雑誌名

      Solvent Extraction and Ion Exchange

      巻: 30 ページ: 171-180

    • DOI

      10.1080/07366299.2011.609382

    • 査読あり
  • [学会発表] 分析展2011/科学機器展2011研究機関・学協会コーナー研究室紹介2011

    • 著者名/発表者名
      浅井志保, 他
    • 学会等名
      分析展2011/科学機器展2011
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉)
    • 年月日
      20110907-09

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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