研究概要 |
混合ガス分離材としてガスハイドレートを利用することを念頭に,特にフッ素系ガスと窒素との多成分系ガスハイドレート生成速度に対する包摂ガス成分の影響を検討した。フッ素系ガスには,R-134aおよびR-22を選択した.はじめに耐圧用反応器の設計を行い,所有するガスハイドレート連続生成・回収装置の改良を行った.R-134aおよびR-22ガスを使用して試験を行い,改良後も同様の運転が可能であることを確認した.ガスハイドレート生成速度を評価するために,フッ素系ガス基準の総括生成速度定数aK^*を用いた.純R-134aガスにおいて,操作温度・操作圧力・気泡導入速度をパラメータとして,生成速度への影響を検討した.操作温度が低く,操作圧力が高いほど,気泡表面をR-134aハイドレートが覆い(ハイドレート殻の生成),aK^*を大きく低下させることがわかった.これは,主に生成したハイドレート殻による気液接触阻害のためと結論づけた.気泡表面に生成するハイドレートを剥離させてaK^*の低下を防ぎ,かつハイドレートをスラリー輸送・回収する手段として,水の流動が非常に有効であることを示した.これらの結果を基に,混合ガス系(R-134a-N_2)でハイドレート生成・回収実験を行ったところ,ハイドレートに包摂されたガス成分は,導入ガス組成に比べてR-134aが濃縮されていたが,総括生成速度定数aK^*は主に導入ガス中のR-134a濃度の低下に比例して低下することがわかった。このように,操作温度,操作圧力,導入ガス組成が,ガスハイドレートを混合ガス分離材として有効に利用するための大きなパラメータであることがわかった.より分離効率を上げるためには,速度定数向上を目指し,生成促進剤の添加とその影響について検討しておく必要がある.また,他の代表的なフッ素系ガス(R-22およびSF_6)への有効性について検討していく.
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