研究概要 |
混合ガス分離材としてガスハイドレートを利用することを念頭に,ガスハイドレート生成速度に対する生成促進剤の影響および包摂ガス成分の影響を検討した。フッ素系ガスにはR-22およびSF_6を選択した.ハイドレート生成速度の評価には,フッ素系ガス基準の総括生成速度定数aK^*を用いた.純R-22ガスおよび純SF_6ガスにおいて,熱力学的条件(操作温度・操作圧力)をパラメータとすると,前年の純R-134aガスと同様に,操作温度が低く,操作圧力が高いほど,aK^*を大きく低下させることがわかった.これは,主に生成ハイドレート殻による気液接触阻害のためと結論づけた.SF_6ハイドレート生成速度は,R-134aやR-22と比較して一桁小さくなった.ガス種の違いによるハイドレート構造よりも水への溶解度が大きく生成速度に関係することがわかった.純R-22ガスを用いて生成促進剤添加効果を検討したところ,至適添加濃度が存在することがわかった.これは,SDSなどの界面活性剤類では界面吸着量に関係し,THFやTBABなどのハイドレート生成可能物質では生成するハイドレート生成構造の転移が関係すると推定した.ガス種に関係なく生成速度の低下を防ぎ,かつスラリー輸送・回収する手段として,少量のSDS添加や水の流動が非常に有効であった.混合ガス系(R-22-N_2:R-22 60%,80,90%)でR-22回収実験を行ったところ,生成速度は導入濃度の減少に比例して低下した.しかし,ハイドレートに包摂された回収ガス成分は,99%以上にR-22が濃縮されていた.また,分離係数は7~50と非常に高い値を示した.このように,ガス種や形成できるハイドレート構造よりも,操作温度,操作圧力,導入ガス組成,水への溶解度がガスハイドレートを混合ガス分離材として有効に利用するための大きなパラメータであることがわかった.
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