研究概要 |
鉱山跡地や射撃場の重金属汚染現場では,荒廃植生の回復と,鉛毒性低下・溶出抑制という2つの問題に対応することが求められる.本研究では汚染土壌の不溶化処理について,(1)不溶化資材を添加した土壌の鉛の溶解性ならびに化学形態の定性・定量(2)鉛不溶化と植物生育に伴う微生物生態系への影響を評価すること目的とした.不溶化資材を添加した土壌では,溶解性の比較的高いPbCO_3と鉛-有機物吸着態の存在比が減少し,溶解性の低い形態(鉛-リン化合物,Mn/Fe吸蔵態)に変化したことが,放射光源EXAFS解析によって明らかになった.一部の植物の根圏域では,土壌中の鉛形態の変化が促進されることも分かった.不溶化処理をした鉛汚染土壌中のDNAを抽出し,真正細菌の16SrDNAを標的としたDGGE法を用いて土壌中の細菌叢の群集構造を評価した.土壌pHを7~7.5程度にすることで植物の地上部に吸収される鉛の濃度が減少し,土壌細菌叢の多様性の促進に効果が見られた.
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