メタノール溶媒に炭酸ガスを吸収させ、銅電極を用いて高い電流効率でメタンを生成させることが可能となりつつあるためが、エチレンやエタンなどのさらなる高次炭化水素を得るためには、電極設計又は電極を含んだ電解還元セルの設計が重要な鍵となる。本研究では、各種金属によるナノチューブ電極を電解還元セル中に組み込み、そのセルを用いてメタノール溶媒中での電気化学的還元特性を検討している。本実験計画では、まず金属ナノチューブの作製法を詳細に検討し、銅、金、亜鉛、鉛などの金属ナノチューブを作製し、次に、その金属ナノチューブ電極を電解還元セルに組み入れ、メタノール溶媒中でのCO_2の電気化学的還元特性を調べる。電極活性や電流効率に関するデータを得た後、プラント化を念頭に置いて、開発した電極に最適なメタノールの純度、安価な支持塩等検討し、システムの最適化を図る予定である。 金属ナノチューブ電極の作製方法として、様々な手法が提案されているが、簡便性と再現性を考慮して、平成22年度では陽極酸化法による酸化チタンナノチューブを作製し、その表面に金属を蒸着することにより金属ナノチューブを作製することを検討した。 まず、酸化チタンナノチューブを作製し、その焼成条件を詳細に検討した。焼成温度、焼成時間等を検討し、X線回折法により結晶構造を解析した。その結果、焼成温度によりアナターゼ型とルチル型の結晶構造が生成することが分かった。 本結果を発展させて、酸化チタンナノチューブを用いてCO_2の光触媒的還元に応用でき可能があり、ナノチューブを用いた新規な炭酸ガス還元セルの構築が期待される。
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