研究計画に基づき、シリカ粒子(宇部日東化成ハイプレシカ^(R)11μm)表面にフッ素系ポリマー(マイナスに帯電)をコーティングした。コーティングには、静電相互作用を利用した交互積層(LbL)法を用いた。新たに導入した水晶振動子微量天秤による評価より、一層当たりのフッ素ポリマーの厚みは1~10nm程度の範囲で制御可能であることがわかった。作製した疎水性シリカ粒子を敷き詰めて静的な水接触角を測定したところ、150°以上の超撥水性を示し、また粒子間隙に純水は浸透しないことを確認した。LbL法によりポリスチレンスルホン酸を積層した場合には、粒子表面は親水性を示した。LbL法を用いることで、極めて少量(100m^2/lg原料)の原料使用量で粒子状の材料に対して均一に高分子の薄膜コーティングが可能であり、計画通りに本研究の第一の目的である粒子表面の親水-撥水制御を達成した。 エタノール分子の水中でのクラスター形成は、混合エンタルピー評価試験より類推した。重要な研究成果として、エタノール水溶液に当該シリカ粒子を導入することで、エタノールクラスター形成の抑制される傾向を確認した。分光法による解析より、実証を進めている。一方で、水/エタノール分離については、エタノール分子が粒子表面をすべることなく吸着(4.7μL/g粒子)固定化することが明らかとなり、高い水/アルコール分離係数は現在のところ得られていない。密度汎関数(DFT)分子計算より、コーティングしたフッ素系ポリマーおよび炭化水素系ポリマーとエタノール分子間の距離および結合強度指数(BOP)を定量した。BOP値が大きいとエタノール分子は強く粒子表面に吸着するため、様々な高分子に対して得たれた計算結果も考慮して、固液界面の相互作用を利用したカラム方式の水/エタノール高速分離技術の確立を目指す。
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