研究概要 |
交互積層法によってNafion超薄膜を積層したシリカ粒子を作製した。得られたNafion修飾シリカ粒子は超撥水性を示し,疎水性相互作用によって粒子lg当たり0.042mLのエタノールを吸着することがわかった。アルコール溶液に塩を加えることで水素結合強度が変化し,OH基の^1H化学シフトが低磁場もしくは高磁場にシフトすることが報告されている。KIやNalを加えると無添加時に比べてOH基ピークは高磁場側にシフトし,水/エタノールクラスター構造が変化する。KIやNalを加えることで撥水性シリカ粒子表面に吸着するアルコール量は増加した。高磁場シフトは、水-アルコール水素結合性が弱まることに対応するため、KIやNal添加によってアルコール吸着量が増加したと考えられる。また表面を親水化したシリカ粒子を同様に作製し、親水/撥水性の違いを利用した水/エタノール分離について検討した。円筒濾紙の中心に親水性粒子を、またその外側に撥水性粒子を充填した分離カラムを作製した。撥水性粒子表面にエタノール分子が吸着すると、表面が親水性に転移して分離能が低下する傾向が見られた。撥水性粒子表面に吸着したエタノール分子を即座に回収する必要がある。そこで分離カラムを一定速度で回転させる装置を設計して分離実験を行ったところ、わずかではあるが室温でアルコール濃縮(20vol.%→24vol.%)を確認できた。粒子サイズ、カラム長さ、カラム直径およびカラム回転速度によって分離係数が変化する傾向が見られた。これらを定量評価して至適な条件を求め、熱エネルギーを必要としない水/エタノール高速分離技術の確立を目指す。
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