当該年度は、これまでの研究成果において選定した1-Butyl-3-methylimidazolium Hexafluorophosphateを中心とした抽出試験及び電気化学試験を行い、Pd(II)の回収条件の選定に資した。また、その他の白金族元素やレアメタル、リガンド(Cl^-、NO_3^-)の違いについても試験を実施し、本システムで分離・回収可能な元素について検討した。当該年度の研究成果より、1-Butyl-3-methylimidazolium Hexafluorophosphateに対して、塩酸水溶液中ではPd(II)、Fe(III)、Zr(IV)、In(III)、Al(III)等が抽出されることが明らかとなった。また、硝酸水溶液中では、Pd(II)、Ru(III)、Re(VII)、Ce(IV)、Mo(W)、U(IV)等が抽出されることが明らかとなった。これらの1-Butyl-3-methylimidazolium Hexafluorophosphateへの金属イオンの抽出挙動は陰イオン交換樹脂へ吸着挙動と類似していることから、錯形成挙動を伴うイオン交換反応であることが示唆された。また、各々の金属イオンの抽出挙動が得られたことから、相互の分離係数が算出され、目的に応じた分離条件が示された。また、1-Butyl-3-methylimidazolium Hexafluorophosphateに抽出されたPd(II)は、電気分解法により電極表面に電析させることが可能であることが確認された。電極表面に電析したPdを分析した結果、金属として回収できることが明らかとなった。さらに、電析したPdは、ヒューム状の形態を呈しており、新たな材料創成の可能性が示唆された。
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