最終年度はこれまでに開発してきた技術やノウハウを総動員して金ナノブロックペアのギャップモードプラズモン局在場におけるナノ粒子の光捕捉を理論と実験の両方から進めてきた。その結果、以下の知見が得られた。 1.昨年度に開発したMaxwell応力法を用いた理論シミュレーション解析により得られた結果 ・捕捉粒子の屈折率が高い場合や粒子サイズがギャップ幅程度の場合、捕捉粒子が光局在場を大きく変化させことにより粒子の光閉じ込めが著しく増強することを明らかにした。 ・Rayleigh近似が成り立つ場合に比べ、最大捕捉力および光捕捉ポテンシャル深さ共に捕捉粒子の屈折率・サイズに強く依存することを証明した。 ・集光レーザーを用いた従来の光捕捉に比べ、本手法は捕捉力およびポテンシャル深さ共に3桁以上大きくなることがわかった。 2.新たに開発した光局在場に捕捉されるナノ粒子の位置揺らぎ測定システムを用いた実験により得られた結果・プラズモン光局在場のナノ空間分布を反映した位置揺らぎヒストグラムを測定することに初めて成功した。 ・ブロックペア長軸および短軸方向におけるトラップのバネ定数は計算値と良い一致した。 ・プラズモントラッピングは集光レーザーに比べ3桁程度強い力で捕捉できることを明らかにした(上述にあるように理論シミュレーションによる結果と良い一致)。 ・捕捉粒子に働く放射圧はプラズモン励起光強度に線形に依存することを実験的に示し、この結果よりプラズモントラッピングに与える熱対流の影響は、実験で用いた光強度に置いて無視できる程小さいことを明らかにした。
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