研究概要 |
本研究では,液晶分子を結合した金ナノ微粒子を合成し,液晶の自己組織性を利用して金ナノ微粒子の凝集構造を制御することを目的とした。また,液晶分子の外場応答性を利用することで,ナノ微粒子の凝集構造を外部刺激により制御することも検討した。 いろいろな液晶性化合物を金ナノ微粒子に結合して液晶挙動を観察した結果,特定の構造をもつ液晶分子を結合した場合にのみ微粒子も液晶性を発現した。高配向焼結グラファイト(HOPG)基板上で液晶分子を結合した金ナノ微粒子の凝集構造をAFMにより観察した結果,直鎖状の一次元的な配列構造を示すことが分かった。一方,非液晶分子で被覆した金ナノ微粒子はランダムな凝集構造しか示さなかった。この結果は,基板表面上における金ナノ微粒子の配列構造が微粒子に導入した分子の液晶性に強く依存することを示している。また,ポリイミド配向膜を塗布しラビング処理を施した基板表面では,ラビング方向にナノ微粒子を-次元配列させることに成功した。ポリイミド配向膜を塗布した基板表面で,as-cast試料を用いると各微粒子が比較的ランダムに分散した構造が観察されたが,この試料を液晶温度範囲でアニーリングすると,金ナノ微粒子がラビング方向に一次元配列した。すなわち,液晶分子と基板表面の間に働く界面配向規制力を利用してメソゲンを一軸配向させることで金ナノ微粒子の1次元的な配列方向も規制でき,凝集構造の自在な制組が可能で左ることを明らかにした。
|