研究課題
本研究で発見した「紫外波長域のみで発光する新しいSiナノ粒子」に関して当該発光の起源を探索した。先ず、ラマン分光法により、紫外発光Siナノ粒子のからのラマンスペクトルは503cm^<-1>とバルクに比べてかなりブルーシフトしていることが分かった。このブルーシフト量は2.5nm以下の粒径群から導かれるという理論計算とよく一致し、紫外発光はSiのコア結晶から導かれると結論づけることができた。またHR-TEM観察結果もこの結果とよく一致した。次に、逆ミセル法を駆使することで、平均粒径1.5~4.0nm程度の極めて狭い粒度の中から、5つの異なる粒度分布を有するサンプル(アルコキシ終端非酸化Siナノ粒子)を合成した。各々のPLスペクトルを測定したところ、平均粒子径が大きくなるに伴いPLスペクトルはレッドシフトした。紫外(300nm)-青(430nm)の発光波長範囲を粒子のサイズのみで制御できることが明らかとなった。さらに、当該発光の蛍光寿命は0.9~4.0ns程度と見積もられた。紫外発光を発現させるには、単分子による非酸化Si表面の形成が不可欠であった。逆に、単分子の被覆率を小さくし部分的に酸化されたSiナノ粒子からは、紫外発光Siと粒子径がほぼ同じでも青発光が観察された。これは、Siナノ粒子表面の部分的酸化により、離散化したファンダメンタルなエネルギーギャップの間に光学界面準位が形成し、励起キャリアの再結合が当該界面準位を経由した結果起こったと考えられる。以上の成果から、本研究で得た化合物半導体に匹敵する程度高い相対発光量子収率(20%)を有する紫外発光は放射性再結合に基づいており、光励起されたキャリアの再結合は、直接遷移型バンドギャッププロセスに起因すると結論づけた。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (11件) 図書 (2件)
Small (in press)
Colloid & Interface Communication 34
ページ: 27-29
色材協会誌 82
ページ: 516-521
Chemical Communications
ページ: 4684-4686
Langmuir 25
ページ: 5674-5683
Thin Solid Films 518
ページ: 699-702
Journal of Crystal Growth 311
ページ: 634-637
Journal of Nanoscience and Nanotechnology 9
ページ: 662-665
ページ: 666-669
ページ: 455-460
Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 16
ページ: 442-449