研究課題
本課題における研究目的「単分子-Siナノ粒子」系における接合界面が発光特性に及ぼす影響について探索した。さらに、そこで得た知見を合成条件にフィードバックすることで、粒子サイズに基づくUV-Visibleにおける発光波長の制御、さらにPL相対量子効率が30%と青色発光としてはトップデータとなる非常に効率の良い発光を導くことに成功した。ヘテロ界面構造操作を実現するための接合界面として「Si-C」と「Si-O」系を選定した。当該接合界面の効果(ナノコンタクト効果)を観察するために、平均粒径がおよそ1.8±0.8nmであるオクタン終端Siナノ粒子およびオクトキシ終端Siナノ粒子を液相調製した。各々のサンプルから非酸化ナノ粒子のみを精製し、光学特性を調べたところ、両サンプルから310nm付近にピークトップを有するシャープなPLスペクトルを得た。励起スペクトルは光吸収スペクトルと同様のスペクトル形状を示し、蛍光寿命にも違いは見られなかった。また、これより大きいサイズ(d~4nm)においても、光吸収・放出における特段の違いは見られなかった。これらの成果より、1.8nmよりも大きい粒子サイズ領域においては、粒子表面層に直接接合している元素種の極性は、発光特性に影響を及ぼさないことが実証された。このことはナノ粒子を有機単分子修飾する際の反応系オプションを制限しないという格別の効果を与える。精密なナノ粒子精製により、PL発光の効率が30%を超える非常に効率の良い発光現象を見出した。バルクでは間接遷移型バンドギャップ構造を有するSiにおいて、直接遷移型バンドギャップ半導体であるCdSに匹敵する高い効率の発光は、環境調和型の発光体創製に向けインパクがあり、単分子-ナノ粒子接合系が創発できる特有の発光現象である。
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