ナノの厚みの自己支持性ナノ薄膜(巨大ナノ薄膜)について、分離・輸送材料としての検討を行った。初めに、機械的強度の優れたエポキシ-シリカの複合材料から巨大ナノ薄膜を作製し、そのガス透過性の検討を行った。しかしながら膜の緻密さ不足の問題により、各種の気体透過性に大きな違いが見られず、同様な透過係数の値を示した。さらに、緻密性に優れたシリコン系高分子やポリ塩化ビニリデンの薄膜化も検討したが、機械強度不足などにより大面積での自己支持性の発現には至らなかった。次に、巨大ナノ薄膜を多孔質基板などへの貼り付けを試みた。その結果、それらの表面特性を巨大ナノ薄膜のそれへと変化できることが確認された。加えて、その他の特性、例えば機械的強度は基板が支配的であったことから、本手法により分離・透過に大きく寄与する表面状態のみを変化させることが可能であることが実証され、スキン層としての利用が期待される。
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