本年度は多項目一括検査可能な蛍光免疫センサへの応用を目指し、マルチスポット表面放射赤色集積半導体レーザのスポット数増大に重点を置いて研究を行い、以下の成果を得た。 1. これまで3×3の2次元マルチスポットを形成できる多焦点2値位相シフトグレーティング結合器を集積した半導体レーザを実現してきたが、これを4本配列してレーザアレイとすることで6×6のマルチスポットアレイを得ることを試みた。等間隔の6×6マルチスポットを構成するよう各レーザのグレーティング結合器の設計を行い、レーザアレイを作製した。スポット強度が等強度となるよう各レーザに注入する電流を調整し、スポット中心間隔約390μmと設計値400μmに近い6×6マルチスポットを得ることに成功した。 2. DBRレーザ発振器、テーパ型光増幅器および多数のスポット光を出射できる出力結合器を集積したレーザを設計・作製し、単一のレーザでより規模の大きいマルチスポットアレイを得ることを試みた。多焦点出力結合器は、単焦点の出力結合器のグレーティングラインに周期的な連続位相変調を与えることで任意のスポット数のマルチスポットアレイを形成する。例として5×5および7×7のスポットを等強度に出射する出力結合器を設計し、これを集積化したレーザを作製した。発振器、光増幅器それぞれに同期したパルス電流を注入し、出射光を測定した。スポット強度間に多少のばらつきはあったが、各集積レーザから5×5、7×7のマルチスポットアレイが得られ、多焦点出力結合器・増幅器集積化DBRレーザの実現に成功した。
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