単分散コロイド粒子を用いてコロイド結晶を作製した。その作製法としてスピンコート法を用いることで、高結晶性のコロイド結晶が得られた。次に、コロイド結晶テンプレート法により、多糖類からなる反転オパール構造体の作製を行った。コロイド粒子の粒径を200~500nm程度としたことで、対応する孔径をもつ多孔質構造体の作成に成功した。また、可視から近赤外域の光を選択的に反射する性質を有することが分かった。 多糖類には、安価で市販されているセルロースおよびキチンを用いた。これらの多糖類は、強固な分子間(内)水素結合により通常の水溶液および有機溶媒には溶解しないことから、特殊溶剤を用いた各種方法により溶液化を行い、これをコロイド結晶に含浸させた後、溶媒を完全に除去した後、コロイド粒子を留去する操作により、目的とする多糖類多孔質体を得た。 作製した構造体の3次元規則多孔質構造については、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて確認した。テンプレートに用いたコロイド結晶では、(111)面方向に結晶成長するため、基板垂直方向に六方最密構造が形成されていることが分かった。構造体においては、コロイド結晶の粒子占有空間と空隙との反転により、空気孔の相互連結構造が形成されることが期待できる。また、X線回折、紫外可視赤外吸収、ラマン散乱、熱分析などの各種測定を行い、合成条件によって構造体の化学構造が異なることが分かった。 以上により、初年度においては、生分解性反転オパール構造体の作製法を確立し、その多孔質構造・化学構造に関する基礎データを集積することで、次年度に実施予定の物性・機能評価のための基礎を固めることができた。
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