反転オパール構造に由来する構造色および光反射特性について、CCD透過反射型顕微鏡、および反射測定用高分解能ファイバ分光システムを用いて調べたところ、作製した試料が選択的光学反射特性を有することが明らかとなった。反射特性に影響を与える屈折率を多波長アッベ屈折計により測定し、ブラッグースネル式により反射波長の計算値を算出したところ、実験値とほぼ一致することが分かった。次に、構造体の分解に伴う反射特性および多孔質構造の変化について評価を行った。SEM観察より擬似生理的環境下において反転オパール構造が崩壊することが明らかとなり、同時に最大反射波長が長波長シフトし、反射強度が低下することが分かった。また、光学顕微鏡観察により、試料表面に亀裂が入り微小片化することが分かった。構造体のDDS機能を評価するために、構造体の作製段階において、メチレンブルーをモデル薬物として反応系に導入し、この構造体を緩衝溶液中で段階的に分解させる実験を行った。このときのモデル薬物の放出量については紫外可視吸収スペクトル測定により評価した。その結果、構造体の分解伴い緩衝溶液中にモデル薬物が放出することが分かった。また、構造体の反射波長が生体組織への透過性の高い近赤外領域に位置する場合には、生体組織に埋入状態においても反射測定を行うことが原理的には可能である。これは、生分解性バイオチップとして用いた場合に、その分解状態および薬物放出状況をリアルタイムかつ非侵襲でその場計測できることを意味する。そこで、構造体をモデル生体組織である豚皮で被覆した状態で反射測定を行ったところ、反射強度は弱いが測定可能であることが分かった。
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