高度情報化社会の発展に応じて、メモリの不揮発性、高速度化、低消費電力化、高密度化、大容量化などの要求が高まっている。本研究では、超微細加工における次世代メモリとして有望視されている相変化メモリの低消費電力化、縮小化に伴う故障の解析とその対策を目的として、本年度はナノワイヤから構成された相変化メモリ(PRAM)を試作し、基礎特性を評価した。 ナノワイヤ相変化メモリの作製 今までの経験を生かして、ナノワイヤ相変化メモリ素子の作製を目指した。 露光量30μC/cm^2とCADデータ上のライン幅30nmとの適切な条件を用い単純な相変化メモリ素子を試作した。SEMを用い観察した結果、リフトオフによる作製したGe_2Sb_2Te_5相変化ナノワイヤと基板との密着性がよく、品質的にも問題はなかった。 また、GST膜上にHSQレジストラインを作成した。100nmごとに倒壊防止パターン配し、描画を行ったところ、露光量2mC/cm^2の時、線幅15nmのライン作製することに成功した。RIEエッチングに置いて、CF_4の雰囲気中、2分間のエッチングで30nmエッチングされたことが確認された。更に、RIEエッチングにより線幅約10nmのGSTワイヤの作製に成功した。 基礎特性の評価 リフトオフ工程による作製したGe_2Sb_2Te_5ナノワイヤ相変化素子を評価した。アニール特性を調べた結果、作製直後ではアズデポ状態であり、アニール温度130℃までは高抵抗であるが、160℃から抵抗値が下がり始め、250℃までで5桁程度の抵抗値変化を確認した。この抵抗値変化は相変化膜そのものでの結晶化による変化と完全に一致しているので、相変化ナノワイヤメモリ素子の作製に成功したと考えられる。また、20~40nsのパルス印加によるアモルファス化実験を行い、相変化による抵抗値変化が確認された。熱拡散を無視して算出されたアモルファス化消費電力は12μWであり、試作素子の消費電力より大幅に小さい。今後、構造を見直し、より正確な計算を行う予定である。
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