強相関電子系ハーフメタル物質であるペロブスカイト型マンガン酸化物La_<1-x>Sr_xMnO_3のナノワイヤをエピタキシャル多層薄膜から作製し、電流印加及び磁場印加による磁壁の制御を試みた。部分的にAuレイヤーを含むLa_<1-x>Sr_xMnO_3FeO_3/La<1-x>Sr_xMnO_3/La_<1-x>Sr_xFeO_3(x=0.4)エピタキシャル薄膜試料についてFIBマイクロサンプリング加工を施し、ピックアップした試料をCu電極付ポリイミド板に固定することで、マンガン酸化物ナノワイヤ両端にAu電極を組み込んだTEM断面試料を作製した。この試料を冷却TEMホルダーに取り付け、ソースメータを用いて電流-電圧特性の測定を行った。また、SrTiO_3/La_<1-x>Sr_xMnO_3/SrTiO_3(x=0.3)エピタキシャル薄膜試料について同様のFIB加工を実施してFIB用切欠けメッシュに固定し、ワイヤの方向を自由に変えることが可能なTEM断面試料を作製した。この試料をTEMホルダーに取り付け、外部磁場印加その場ローレンツ電顕観察を行った。交流消磁によりピンニングサイトにボルテックス磁壁が形成されたが、消磁の交流磁場方向をワイヤ長手方向に対して+45°にすると、ヘッド・トゥー・ヘッド磁壁では時計回り、テイル・トゥー・テイル磁壁では反時計回りのボルテックスが形成され、逆に消磁の交流磁場方向を-45°にすると、ヘッド・トゥー・ヘッド磁壁では反時計回り、テイル・トゥー・テイル磁壁では時計回りのボルテックスが形成されることが明らかになった。この外部磁場を用いた方法によりボルテックス磁壁のカイラリティを制御できることが明らかになった。
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